2026年05月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「米芾 張季明帖」
余収張季明帖

PDF

【手本解説】
昇段試験の課題として、米芾の「張季明帖」の範書をお示ししますが、前回までの「李太師帖」でも構いません。いずれにしても、米芾が書いた尺牘(せきとく・手紙文)であることに変わりありません。
米芾の作品として、皆さんに知れ渡っている「苕溪詩巻」や「蜀素帖」のように、自ら詠んだ詩を良紙を得て喜んで書いたもの、いや少し緊張して改まった気持ちで書いたものと異なり、普段着の米芾の姿が、この尺牘には表出しています。とは言え、この「張季明帖」には王献之の中秋帖のような連綿行書の味わいも醸し出されています。気力復何如也の箇所がそれに当ります。王献之が米芾の血肉となっているのでしょう。ぜひ、宋時代の個性が発揮されている米芾の書技を、昇段試験の中で充分に学んでみて下さい。余のヒトヤネの伸びやかな左右の払い。収・張・季・明、などの左傾の表現は米芾の最大の特長と言って良いでしょう。帖は小粒ながらも豊かにとって偏・旁の空間が効いています。

[岡田明洋]