2022年12月 優秀作品【中学生】

選者選評
【毛筆】澤琴舟 【硬筆】望月碧雲 岡田明洋

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
深谷 志歩
線の伸びやかさ、つながりが見事です。名前にも強弱を!
<中1 九段>
鈴木 紬
側筆を用いた自然体の書きぶり、強弱を入れよう。
<中1 初段>
梶山 莉奈
線は細いが、墨のしっかりと入った作品。
<中2 特待生>
鈴木 昊
行書らしい伸びやかな線。さらに入木の精神を!
<中2 特待生>
長岡 柚奈
スケールが大きい作。ただし気持ちを抑えることも考えよう。
<中2 九段>
須藤 日奈子
大きな動きで紙面一杯の作、転折注意!
<中2 五段>
須藤 夏乃子
紙にくいこむような墨の入りがとても良い。名前もよし!
<中3 特待生>
遠藤 衣月
行書作品の流れるような筆運びがすばらしいです。
【選出所感】
「旅情」、「どういう意味?」と尋ねられました。”旅でのしみじみとした思い。たびびとの心情”というところでしょうか。ただ、そんな思いが感じ取られる作品が少なく、審査をしていてもピンとこなかったように思います。「方」とリッシンベンの書き順が間違っていなかった点は良い点です。書く文字に思いを込めるという意識を強くしたいですね。
「自然の美」は上軽く、下重いという紙面構成になっていますが、作品としては、「自」と「美」にしっかりと墨が入っていたので、どっしりと構えたものが多かったようです。「然」の三つのパーツが、離れ小島のようになってしまうと、失敗したように見えます。線をつなげなくても次の画を目指して書けば、気脈が通じます。行書を書く時、早く書かなくても気脈を一貫して書くことが大切です。

[岡田明洋]

硬筆

<中1 特待生>
深谷 志歩
丸味のある向勢でまとめたエレガントな作。
<中1 特待生>
浦 ひまり
ペン軸に安定感があるので、字形も整った。
<中1 八段>
鈴木 紬
向勢の構えが、ソフトな感じを与えた優秀作。
<中2 特待生>
鈴木 昊
線に勢いが生まれてきた。草書を巧みに崩しました。
<中2 七段>
須藤 夏乃子
字形のとらえ方に正確さが出てきました。この調子で。
<中3 特待生>
田村 奈穂
運筆を丁寧にし、落ち着きのある作品とした。
【選出所感】
中学一年生の課題は、余りに画数の少ない課題で、かえって、疎すぎて難しかったかもしれませんね。「祥風」はめでたき風という意味で、お正月のように思うかもしれませんが、「墨場必携」の中には、冬類八字の中に収められています。来年が良い年になりますように、と祈っての選文でしたが…
汐音さんの漢字は素晴らしかった。「天よりたまわる」が少し小さくなってくれたらと思います。
中学二・三年生は逆に画数が多すぎたために、文字が大きくなりすぎて、紙面をまとめることが出来なかったように思われます。また、草書の「樹」や「正」があったことも難しくした一因であるかもしれません。「歳・樹」に誤字もありました。掲載されているお手本を拡大して、線がどのようにつながっているのかをしっかり確認してからペンを取りましょう。
そのためには、一度赤鉛筆で書いてから、自己添削するつもりで、ペン字で重ね書をするという方法を取っていただいても良いですね。

[岡田明洋]