2022年7月 優秀作品【中学生】

選者選評
【毛筆】石神澄璇 【硬筆】野々山鶴僊

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
深谷 志歩
深みのある強い線で、行書の流れを表現しています。
<中1 八段>
鈴木 紬
おおらかな流れのある書きぶりで、美しさを表現しました。
<中1 3級>
杉山 寧音
筆の動きに注意して、慎重でゆっくりとした運びがよい。
<中2 特待生>
鈴木 昊
躍動感あふれる書きぶり。線のつながりが上手です。
<中2 九段>
須藤 日奈子
線の強弱があり、変化と動きを感じます。
<中2 四段>
須藤 夏乃子
引き締まった字形で、余白も冴えた美しい作品。
<中3 特待生>
遠藤 衣月
軽快にスピード感も表現した行書の模範作です。
<中3 特待生>
土井 千亜希
スッキリとした歯切れの良い線でまとまりのある作品。
【選出所感】
昨年の冬、六年生の子が親子で入会してくれました。とても素直なお子さんで、私が言うところの「俯仰法」で進行方向に筆を倒して書いてくれています。「夏祭」の左右の払いを実に楽しそうに大きく振り回しています。小学一年生の時から入会していた同級生たちが、今まで筆をたてて書こうと指導を受けているものですから、なかなか筆の軸を進行方向の方に傾けて書くことに苦労しているのに比べると、何の抵抗もなく筆を操っているのです。ところが、作品を選んでいる時、紙の裏を見てもさほど墨は入っていないのです。そこで私の一言「やはり筆を寝かしているだけでは駄目なんだよね。軸を倒すというのは手段で、墨を入れる(入木)が目標なんだよね。気をこめて、少し軸を進行方向に進めるくらいでいいんだよね。」この言葉にも素直に耳を傾けて「夏祭」を書いてくれました。書を習うのは、いつでも構わないのです。素直な心をもっている子は必ず上達します。

[岡田明洋]

硬筆

<中1 特待生>
浦 ひまり
流れるような運筆で美しく仕上げました。
<中1 六段>
山本 里優
ゆっくりとていねいな中にも筆脈を感じる作品。
<中2 特待生>
鈴木 昊
伸びやかな線で、力強くも穏やかな仕上りになりました。
<中2 特待生>
長岡 柚奈
線に強弱があり、流れを感じる作品になりました。
<中2 八段>
須藤 日奈子
伸びやかな線で、ペンが力強く滑らかに動いている作品。
<中3 特待生>
田村 奈穂
落ちついた書き振りで、女性らしさを感じる作品。
【選出所感】
中学二・三年生は安定したペン運びでインクが紙に着かなくて苦労しているなどということが全くありません。試しに、一般部の実用書部を書いてごらん、などということもやっていますが、もう大人顔負けと言ってもいいかもしれません。増長することなく、謙虚にペン字に取り組んでもらいたいと思います。
今年の五月の課題から、漢詩と俳句一首ではなく、漢詩とその釈文にしましたが、それが功を奏しているようです。マスの実線と点線を利用して文字の位置をしっかり確認する習慣ができているようです。最初に赤鉛筆で書いた上から添削するつもりで、ペン字で書いていくという方法も有効なのでしょう。エンピツで書くと慣れが出て、今まで教えてきた持ち方と異なる持ち方になってしまった小学五・六年生がいます。つけペンを用いることによって、正しい持ち方を再認識することになるのでしょう。掲載された中学生の作品を見ることがますます楽しくなります。

[岡田明洋]