2024年05月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「臨 蘭亭序」
山陰之蘭

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みなさんの中には、今、私が扱っている蘭亭序の米芾が書いたといわれる第二本と馮承素(ふうしょうそ)が写し取ったといわれる第三本(神龍半印本)がお手元にない方もおられると思います。が、今回もこの二つを比較しながらお話をしていきたいと思います。
山の一画目の起筆を見ると、第三本の方が入筆の引きを強くし、始筆を強調してあります。敷き写したものとはいえ、唐代の楷書の手法が出てしまったのでしょう。それに比べると第二本は自然な行書らしい入筆で表現されています。
陰を見ますと、第二本はコザトヘンと旁の高低差が目立ち、自由な鑑賞眼の元に書かれているように思います。唐の書法が”法”を重視しているのに比べると伸びやかな個性的な臨書態度です。
蘭は正直言って私はあまり好きではありません。第二本の蘭は分間が乱れすぎている様に感じるからです。私の書いたものはいささか修正してしまっているようです。