2021年5月 お手本【一般 臨書部】
条幅臨書
半紙臨書
臨 蘭亭序
「絲竹管弦之盛」
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永和九(353)年三月三日、王羲之によって書かれた「蘭亭序」は王羲之の七世の孫にあたる智永というお坊さんに伝わり大切に保管されていました。智永亡き後は、弟子の弁才が隠し持ちます。唐の時代になると、皇帝の太宗は、王羲之のコレクターなので「蘭亭序」を欲しくてたまらなかったのですが、弁才は「智永没後、蘭亭序の所在はわからなくなった」と答え、しらをきっていました。そこで皇帝太宗は策略を企て、とうとう「蘭亭序」を手に入れることに成功しました。そして、太宗は崩御した際、「蘭亭序」を昭陵の中に随葬してしまいました。つまり「蘭亭序」の本物は、この世には存在しなくなったのです。けれども、太宗は「蘭亭序」を入手すると榻書人四名に命じ、各々数本ずつ写させました。コピーを作ったということですね。又、欧陽詢や虞世南・緒遂良などの有名な書家に臨書させ残しました。そのおかげで、21世紀の今日私たちは多くの「蘭亭序」を目にして、勉強することもできるのです。もし弁才の元に「蘭亭序」が残っていたとしても、その後、お寺の消失や紛失の難にあわなかったとも限りません。太宗が非難されるべき手段を用いたとしても、入手して、多くの榻書人や書家に榻模させたり臨書させて残したことは益のあることだと言えるでしょう。
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