2025年04月 優秀作品【中学生】

選者選評
【毛筆】濱田芳竹 【硬筆】山田淥苑

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 四段>
小野 奏
ゆったりとおおらかな筆はこび好感がもてます。
<中1 三段>
小嶋 明里
柔らかな線でまとまった作品となりました。
<中2 五段>
土屋 凜佳
無理な筆遣いはなく、ゆったりと自然にかけています。
<中3 特待生>
深谷 志歩
余白の取り方がとてもよく山里の春が浮かんできます。
【選出所感】
少し残念だったのが中学生。とにかく出品点数が少なかったです。選出された作品は、それぞれ学年ごとのしっかりとした作品ですが、もっとたくさんの同学年の子がいて、切磋琢磨している様子が伝わってくると良かったと思います。
学校教育の中で、中学になると書写の必要性も少なくなっているかもしれませんが、どれほどしっかりした書き順で、どれほどしっかりした字形を書いているのでしょうか。お友達に聞いてみてください。私のところに習いに来て(とてもしっかり筆順を見ているのですが)今まで習ってきた漢字の筆順がパーフェクトにできていた生徒は一人だけです。実用書のところにも書きましたが、有名な俳優さんでも40歳を過ぎて素敵な文字を書きたいといわれています。
一途に文字を書くことの楽しさを体験しましょう。

[岡田明洋]

硬筆

<中1 九段>
谷 駿佑
全体の文字の流れがあります。一文字の中の強弱がいいです。
<中1 四段>
小野 奏
文字のやさしさと流れと空間美を感じます。
<中1 四段>
小嶋 明里
筆圧の入った文字で、安定感と落ち着きを感じます。
<中3 特待生>
深谷 志歩
有終の美を飾る一枚です。気の充実感を感じます。
【選出所感】
この一年間、平仮名の字母について示してきました。平仮名が漢字の草書体を崩して成立したことがよく理解いただけたと思います。上段に書かれているのが行書です。ここで誤解がないようにしたいのですが、「行書を崩して、草書になった」と思われないようにしてください。楷書・行書・草書の順にそれぞれの文字をだんだん崩して一番最後に草書が出来たように思われがちですが、中国の文字の歴史を見ますと、実は隷書という書体を走り書きして、草書→行書→楷書の順に各書体が完成されたことが新しく中国から出土された木や竹に書かれた文字からわかったのです。
中学生の皆さん。行書の滑らかさにも慣れ、ペン先の扱い方も上手になったので、俳句作品の方は秀作ぞろいでした。活字文化の存続が心配される中、手書き文化に自信をもってペン字の鍛錬に励みましょう。書道がユネスコの無形文化遺産へ登録されようとしているのですから。

[岡田明洋]