2024年11月 優秀作品【中学生】

選者選評
【毛筆】沖村春岑 【硬筆】大村清琴

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 四段>
小野 奏
墨のニジミも作品としての美しさになっています。
<中1 三段>
小嶋 明里
腕を大きく動かした、躍動感のある作。
<中2 八段>
松村 日和
小ぶりですがすっきりと落ちついた作品です。
<中3 特待生>
山本 里優
ゆったりとした穂先の流れが見えます。きれいな作品。
【選出所感】
「野菊」野に咲く菊ですね。みなさんは、「野菊の墓」という小説を読んだことがありますか。15歳の主人公、政夫と17歳の従姉の民子との幼い恋を回想する純愛小説です。昔読んだこの小説のことを思って、「野菊」としたのはセンチメンタルですね。
しかし題材としては、難しい課題でしたね。楷書で書くと、ともに11画の画数です。線をつなげることによって11画ではなくなりますが、やはり変化をつけるのは大変ですね。こんな時は墨量の変化をつけるとよいですね。野は里に菊はクサカンムリに墨を入れて、墨ダマリの位置を変えることで紙面が立体的になります。また、予と米の連続性を表現できると行書らしくなったと思います。

[岡田明洋]

硬筆

<中1 九段>
谷 駿佑
連続線の力の入れ方、ゆるめ方など変化が見えます。
<中1 七段>
中司 沙英
行ごとの柔らかな線を出そうとがんばりました。
<中1 四段>
小野 奏
のびやかな左はらいに心地よさが表れています。
<中2 六段>
土屋 凜佳
字の形や力の入れ具合に注意を払っています。
<中3 特待生>
鈴木 紬
難なくまとめ上げた腕前はすばらしいです。
<中3 特待生>
山本 里優
筆脈を生かし全体をまとめ上げた見事な作品です。
【選出所感】
中学生。やはり何年もお習字に通ってくれているので、ペン字に慣れてきているのでしょう。それでも大人の実用書の選出所感を読んでくれると嬉しいですね。正しい姿勢・持ち方・書き順をチェックするという初心に帰って硬筆に取り組んでいただけるといいですね。
私の会の六年生には、中学生で用いるペン先・ペン軸・墨汁を用いて、四季の書の硬筆課題を書いてもらっていますが、ほかの会の生徒さんも、鉛筆ではなく、ペン字で出品いただいても良いと思います。鉛筆ですと、だいたいどの軸の角度でも書けますが、ペン字だと墨汁(インク)で線が引けない時があります。つまり、そのようにインクが出ないのは、ペン先の角度がまずいのです。硬筆用具の持ち方をなおす意味でもペンの練習もありかもしれませんね。

[岡田明洋]