2021年10月 優秀作品【中学生】

選者選評 古川倖帆

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
青島 庵
四文字の配字が難しい課題ですが端整な作品にした。
<中1 特待生>
鈴木 昊
行意を感じるやわらかな線質が魅力的です。
<中1 六段>
須藤 日奈子
勢いと流れのある雰囲気で名前までよく書けました。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
次に続く画に向けて、よく筆が動いています。
<中2 特待生>
田村 奈穂
安定感のある線の中にも重みがあり名前も堂々と書けた。
<中2 十段>
山下 萌生
思いきった墨入れ、勢いのある行意、よく出来ました。
<中2 初段>
鈴木 悠生
筆をきちんと立て転折で力を貯めて書けましたね。
<中3 十段>
鈴木 理斗
堂々とした作であり、かつ、やわらかな線質がよい。
【昇段試験対策】
「詩歌」”しいか”と読みます。高校入試の時にもその読み方が出題される時がありますよ。
ゴンベンの点の位置は思い切り右に打ちます。そして右サイドに壁をつくります。中心線に接することはないように。「詩」は上から下に流れるつながりを大切にすることです。点や縦画もからげてはいる蔵鋒という筆使いをするといいですね。「歌」は偏の点・点・点を打つようなリズムで右に連続させることが難しそうですね。「N」の筆記体のような早書でテンポよく書きましょう。「欠」を偏に近づけて書くと両方の字がスリムに書けます。二字とも画数が多い課題ですので、連続した線で伸びやかに書きましょう。
「古都の秋」は先月号の「芸術の秋」と被ってしまいましたね。10月15日に配信された中学1年生の作品を参考にしてみてください。共に下の二文字が画数が多くて左払いのある字が「秋」とぶつかってしまいそうになります。「都」の左払いを短くすれば、接触は避けられます。墨をたっぷり入れて、充実感のある字にしましょう。オオザトは下部のふくらみを表現してください。「の」は行意をもって筆の裏返しを試みてください。「秋」はノギヘンをどっしり、「火」の気脈を大切にして連続するつもりで書きましょう。

硬筆

<中1 特待生>
鈴木 昊
行意に必要なしぼむ所を作ることで流れを感じます。
<中1 特待生>
青島 庵
字形に乱れがなく線ものびやかでペン使いもよい。
<中1 十段>
長岡 柚奈
線に勢いがあり、のびやかで字形が安定しています。
<中1 十段>
須藤 日奈子
字を前傾姿勢にして行意を感じる作品です。河大佳。
<中1 三段>
須藤 夏乃子
筆脈を意識して流れをつける工夫が感じられます。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
抑揚の変化があり、紙面一杯に堂々と運筆した。
<中2 十段>
土井 千亜希
字の大きさもよく、無理のない運筆で線がきれいです。
<中3 特待生>
鈴木 理斗
ていねいな書きぶりで落ち着いた作品に仕上がっています。
【昇段試験対策】
「月落ち烏啼き、風は雁信を伝う」(月は落ちて夜明の烏が鳴き、風は雁のおとずれをつたえてくる。)俳句は正岡子規の有名な句である「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」です。漢詩も俳句も縦長の構えをしているので、縦に流れやすく重心のぶれもあまり気にならずに書けると思います行書の時は文字の中に空気を入れるように心掛けると良いですね。つまり「月」は左上の空から空気が入り、右下まで流れていくようにすると気持ちが止まることなく動の気が流れます。クサカンムリ、「風」の中の「虫」、「信」の「言」など行書特有のスタイルを覚えておけば、捷書きの時に活用できます。
「貞松秀を擢(ぬき)んで、金菊霜を凌(しの)ぐ」(緑の色変わらぬ松はますます秀でて、黄菊の見事さは霜より優れている。)「かねつけば ふとかえりゆく かのこかな みきお」やはり、書くだけでなく、しっかり読めて、意味も理解できた方がいいですね。1年生の書き方に比べて、やや肥痩(ひそう)をつけました。線に太い細いの変化が表現されると文字が立体的になります。太い線は動脈、細い線は静脈と考えてくれてもいいですね。ドク・ドクと力強く流れる線。細くて落ち着きのある線を巧みに組み合わせて、健康な文字を書きましょう。三年生!ぜひ有終の美を飾ってください。