2021年9月 優秀作品【中学生】

選者選評 岡田明洋

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
青島 庵
 入木(墨の入り方)に感心します。字肌も美しい秀作。
<中1 特待生>
鈴木 昊
誠心誠意紙面に対して気を満たしています。盛は特に佳。
<中1 六段>
須藤 日奈子
切れ味見事です。思い切りの良い線の引き方を追求しよう。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
連綿線の美しさに長鋒を用いて挑戦。肥痩つけよう!
<中2 特待生>
田村 奈穂
落ち着きのある書き振り。これでいいとせず更にもう一枚。
<中2 十段>
土井 千亜希
大きな気分。この堂々とした書き振りを生活に生かそう!
【選出所感】
「盛夏」は課題が難しかったですね。「盛」も「夏」も二階建ての文字ですね。どちらかは、複体(偏と旁)のある文字にすればよかったですね。夏ということに意識が向きすぎていました。しかも「盛」の一番下の横画と「夏」の一画目の横画が接近すると美しく見えません。もう少し変化に富んだ課題にすればよかったと反省しています。スマホ版の生徒はこの間合いの取り方がとても上手でした。「盛」のそり、「夏」の左右のはらいを裏から見てもしっかりと墨が入っていました。行書だからと言って、むやみに早く書くのではなく、毛先の弾力を自分で感じながら、墨がにじみでて来るのを確認しながら筆を進めていくといいですね
「青雲銀河」はやはり出品点数が少ないのが残念でした。課題もやや難しかったでしょうね。八月の空を見上げると、青い空に真白い入道雲。そして夜空には、美しくちりばめられた群星。ことばの美しさに魅了され課題としましたが、一行目は共に単体、二行目は複体でしたので、それぞれの字幅が狭と広になってしまいました。「河」の連綿線(線が続いて途切れることがないこと)が難しかったですね)。サンズイの右上につなぐところは、「可」の横画で毛先をつりあげてから書くと次へのステップがしやすくなります。行書を仕上げるためには、毛先の弾力を活用することです。筆管を寝かせることなく、管の下の指を竹におっつけるように心掛けましょう。

硬筆

<中1 特待生>
青島 庵
少ないお稽古日ですが、集中力を発揮してます。漢詩大佳。
<中1 特待生>
鈴木 昊
書き込んで筆力がつきました。ペンの開閉巧みです。
<中1 十段>
長岡 柚奈
君の良いところは線の伸び!とても生き生きしています。
<中1 十段>
須藤 日奈子
線をつなげても形が崩れないのが素敵!俳句がいいね!
<中1 四段>
高橋 美月
線の骨格がとても良い。特に俳句!名前やや小さく書こう。
<中1 三段>
須藤 夏乃子
縦長のスタイルが美しい。字形がスックと立っています。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
大きな運動!ダイナミックな筆圧変化。エネルギーに感動!
<中2 特待生>
田村 奈穂
毛筆よりも動きがあって良い。特に木魚哉は大佳!
【選出所感】
中学一年生の硬筆ペン字作品はとてもよく書けていました。夏休みの時期にこれだけ墨汁(インク)の色がしっかり出るのは、ペン軸の角度が60度くらいになっているからです。90度近いとペン軸の場合は、立ちすぎで、極細か紙にインクの色が付かない線になってしまいます。反対に太くなりすぎるのは、ペン先が直下を向いて、人差し指の力を入れすぎてしまうからです。一年生の場合は、平仮名を書くときつなげなくても構いませんから、次の線に行く方向に気をつけて書くことが大切です。「露」、「水」、「天」の右払いも軽めに入ったペン先に徐々に力を入れて太くするという難度の高いはらいも上手に引けていました。中学二・三年生は夏目漱石の俳句です。夏目漱石は明治の文豪ですが、小説だけでなく、俳句もユーモラスなものですね。「叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉」。お寺の木魚の中で昼寝していた蚊が、先端を布で巻かれた撥によって叩かれると慌てて飛び出る姿をおもしろく思ったのでしょうね。皆さんも楽しんで書いたのでしょうか。連綿線も上手に表現していました。漢詩の方も画数が多く、連綿線も多用していましたが、形も崩れることなく、左傾を意識しながらしっかりと書いていました。このまま三年生は受験勉強と両立して書く行為を楽しんでください