2021年5月 優秀作品【中学生】

選者選評 野々山 鶴僊

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
青島 庵
気持ちがしっかり入り、乱れのない線で書けました。
<中1 特待生>
鈴木 昊
動きのある線でリズミカルな作品に仕上げました。
<中1 十段>
長岡 柚奈
紙面から浮き出てくる様な躍動感あふれる作品です。
<中1 三段>
太田 侑希
粘りもあり、力強く、堂々と書けています。
<中2 特待生>
田村 奈穂
自然な等脈で伸びやかな作品に仕上げました。
<中2 九段>
土井 千亜希
柔らかい動きの中にもひきしまった線があり爽やかな作品。
<中3 特待生>
三津山 創太
字形も良く全体のバランスも整った素晴らしい作品。
<中3 特待生>
杉山 真那夏
繊細さと躍動感を上手く組み合わせた作品となりました。
【選出所感】
新中学生にとってはじめての行書は「恵風」です。追い風になることを願っていますが、時には、風にむかって突き進んでいくことも必要になると思います。順風も逆風もどちらも自分にとって、恵の風になってくれると思えば、強く生きていけます。
行書は、「歩く」姿にたとえられます。決して早く書かなくても構いません。むしろ、はじめはゆっくり、心を込めて、柔らかく丁寧に書くと良いですね。点画から点画へ、文字から文字へと曲線を用いながら、気脈を大切に伸びやかに筆を進めていきましょう。むやみにはねないで、筆の下の指を用いて、毛先をスクワットさせるようなつもりではねると、次へとつながる線に無理なく着地できます。
曲線・連続・省略を意識して書けば、自然と行書らしくなります。2・3年生の「春の詩集」を見ても、やや楷書っぽい書き振りや、早歩きのような書き振りなど、自分の好みに合わせて、幅がある表現ができる点も行書の面白いところだと思います。「春」の5点目の右払いを止めにして、次の「日」につなぐようにして書いても構いません。「詩集」は「春」の上三画同様、よこ画が次から次へと下につながっていく点は行書の醍醐味です。起筆を10時半の方向にするのではなく、右から左へと毛先を包み隠すようにすると、丸みのある、柔和な線となります。ゆっくり柔和に紙面から離れない気持ちで行書を書きましょう。

硬筆

<中1 特待生>
青島 庵
線質・字形・バランス全てが整った作品。
<中1 十段>
佐生 千旭樹
筆圧が入り力強い作品となりました。
<中1 十段>
鈴木 昊
一字一字良く見て書けています。落ち着いた作品。
<中3 四段>
須藤 日奈子
字形がとても良い。起筆終筆もしっかり出来ています。
<中1 四段>
太田 侑希
きれいな線で懐の広い丁ねいな作品に仕上げました。
<中2 特待生>
田村 奈穂
ゆっくり丁ねいな中にも動きのある書きぶりです。
<中2 十段>
遠藤 衣月
筆圧がしっかり入った勢いのある作品になりました。
<中2 1級>
鈴木 悠生
きれいな線で美しく落ち着いた作品に仕上げました。
<中3 特待生>
杉山 真那夏
落ち着いた線で全体のバランスも良く仕上がった作品。
<中3 特待生>
三津山 創太
筆脈が良く美しい線で求心性のある作品にしました。
【選出所感】
新中学生の皆さんは、小学生の総復習をいうつもりで、筆順チェックと最後の鉛筆作品となりました。筆順チェックはパーフェクトとはいえないまでも、大概の筆順は間違うことなく書けていました。楷書は横画を統一させて、右上がりにすること。角度が何度などと決めつけはしませんが、しっかりと右上がりを意識して、ブラインドのような等間隔をとるようにしたらよいですね。文字の大きさも小学生に比べるとやや小振りに書いてあり、余白の美しさも感じることができた作品ばかりです。小学生の皆によいお手本となってくれました。次からはペン字も行書となります。さあ、新しい筆記用具を楽しんでください。
2・3年生は、つけペンにも慣れて、インクの使い方にも安定感が出てきました。全体的にもう少しひらがなが小さくてもよいでしょうか。漢詩四字句二首の大きさを基準にするとまだひらがなは小振りでも良いですね。ひらがなの字母ということを考えると、自然と文字が簡略化されると思います。
「奈」が「な」、「礼」が「れ」、「也」が「や」、「幾」が「き」、「乃」が「の」、「加」が「か」、「寸」が「す」、「美」が「み」となること。つまり、漢字の草書をもっと崩して、仮名が生まれたということが分かるでしょう。漢字のことを平安時代に真名と呼び、新しく日本で用いられた文字を仮名と呼ぶようになりました。ここに選ばれた四点、それぞれ異なりますが、それでよいのです。みんなちがってそれでよいのです。