選者選評 野々山 鶴僊
毛筆
※作品は押すと単体で表示されます
【選出所感】
新中学生にとってはじめての行書は「恵風」です。 追い風になることを願っていますが、時には、 風にむかって突き進んでいくことも必要になると思います。 順風も逆風もどちらも自分にとって、 恵の風になってくれると思えば、強く生きていけます。
行書は、「歩く」姿にたとえられます。 決して早く書かなくても構いません。むしろ、はじめはゆっくり、 心を込めて、柔らかく丁寧に書くと良いですね。点画から点画へ、 文字から文字へと曲線を用いながら、 気脈を大切に伸びやかに筆を進めていきましょう。 むやみにはねないで、筆の下の指を用いて、 毛先をスクワットさせるようなつもりではねると、 次へとつながる線に無理なく着地できます。
曲線・連続・省略を意識して書けば、自然と行書らしくなります。 2・3年生の「春の詩集」を見ても、やや楷書っぽい書き振りや、 早歩きのような書き振りなど、自分の好みに合わせて、 幅がある表現ができる点も行書の面白いところだと思います。「 春」の5点目の右払いを止めにして、次の「日」 につなぐようにして書いても構いません。「詩集」は「春」の上三画同様、 よこ画が次から次へと下につながっていく点は行書の醍醐味です。 起筆を10時半の方向にするのではなく、 右から左へと毛先を包み隠すようにすると、丸みのある、 柔和な線となります。 ゆっくり柔和に紙面から離れない気持ちで行書を書きましょう。
新中学生にとってはじめての行書は「恵風」です。
行書は、「歩く」姿にたとえられます。
曲線・連続・省略を意識して書けば、自然と行書らしくなります。
硬筆
【選出所感】
新中学生の皆さんは、小学生の総復習をいうつもりで、 筆順チェックと最後の鉛筆作品となりました。 筆順チェックはパーフェクトとはいえないまでも、 大概の筆順は間違うことなく書けていました。 楷書は横画を統一させて、右上がりにすること。 角度が何度などと決めつけはしませんが、 しっかりと右上がりを意識して、 ブラインドのような等間隔をとるようにしたらよいですね。 文字の大きさも小学生に比べるとやや小振りに書いてあり、 余白の美しさも感じることができた作品ばかりです。 小学生の皆によいお手本となってくれました。 次からはペン字も行書となります。さあ、 新しい筆記用具を楽しんでください。
2・3年生は、つけペンにも慣れて、 インクの使い方にも安定感が出てきました。 全体的にもう少しひらがなが小さくてもよいでしょうか。 漢詩四字句二首の大きさを基準にするとまだひらがなは小振りでも 良いですね。ひらがなの字母ということを考えると、 自然と文字が簡略化されると思います。
「奈」が「な」、「礼」が「れ」、「也」が「や」、「幾」が「 き」、「乃」が「の」、「加」が「か」、「寸」が「す」、「美」 が「み」となること。つまり、漢字の草書をもっと崩して、 仮名が生まれたということが分かるでしょう。 漢字のことを平安時代に真名と呼び、 新しく日本で用いられた文字を仮名と呼ぶようになりました。 ここに選ばれた四点、それぞれ異なりますが、それでよいのです。 みんなちがってそれでよいのです。
新中学生の皆さんは、小学生の総復習をいうつもりで、
2・3年生は、つけペンにも慣れて、
「奈」が「な」、「礼」が「れ」、「也」が「や」、「幾」が「