選者選評 岡田明洋
漢字規定部(初段以上)
※作品は押すと単体で表示されます
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【選出所感】
前回の選出所感に記しました「五・ 六段の方の墨の用い方の意識がすこぶる変化しました。1. 3倍くらい、墨量が多くなったのではないでしょうか。そして、 送筆にかける時間も随分と長くなったのだと思います。」 のコメントを更に実践されている様に感じた今回の審査でした。 決して上手く書きぶることも、 早く書きぶることもしなくてよいのです。気持ちを充実させる” 気満”という言葉があります。少し気障ですが、私は「 砂浜に釘で文字を書いたとき、 表面から海水が湧き出たような感触で書きましょう。 毛先が進みながら、 墨がにじみでてくるような状態を確認しながら筆を進めると裏面ま で墨が入って、黒々とした線になっていますよ。」 などということを言います。 静岡市の海岸の地で育った私だからの比喩かもしれませんが・・・ 。”入木”という言葉もそうです。書聖王羲之が木に書いたところ、 1センチほど墨が入っていたという故事があります。 心と墨が線の中に満たされている状態を表しているのではないでし ょうか。 本当に皆さんの筆の紙に向かう気持ちが変化していることに驚きま す。もちろん良き方向にです!書体も少し、行書・ 草書が増えたかなと思います。 今月の配信の中学一年生の所感に書いた如くです。 そちらも併せてお読みください。そして行書・ 草書をも書くことで、 楷書にもリズムが生じることを信じて筆をおとりいただけると嬉し いです。
前回の選出所感に記しました「五・
漢字規定部(特級以下)
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【選出所感】
このクラスの方も初段以上の私の選出所感をお読みになって頂いて いるのだと思います。墨の用い方、いや、 墨の入り方がとても良くなっています。 初段以上の所感だけでなく、 ブルー地の文章はすべてお読みいただけるとウェブ書道「 四季の書」を配信している甲斐があるというものです。日々、 私が書道について思っていることをつらつら文章にしているのです が、皆さんの学書の糧になる点もきっとあると思いますので、 ご活用ください。 これからはどなたがスマホ版になっても不思議ではありません。 是非、皆さんで切磋琢磨していただけるといいですね。 そんな中で小篆の作品を書いてくれた方がいました。 はんこの時に用いる文字と言ったら一番わかりやすいでしょうか。 起筆で筆をからげて入ることによって、 線の中心を毛先が通ります。これを中鋒といいます。 楷書の場合は、基本的に縦画の場合、 毛先は左サイドに表出します。篆書(小篆もこの中に含まれます。 )は、この中鋒によって線の中心からエネルギーが発散して、 線質が強くなります。篆書学習のメリットがここにあります。 また、 篆書は五つある書体の中の一番最初に書かれた文字ですから、 篆書に興味を持ちますと漢字の成り立ちにも関心を持たれると思い ます。
このクラスの方も初段以上の私の選出所感をお読みになって頂いて
条幅部
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【選出所感】
今月も前回に引き続き、3行ものを選出しました。 2か月連続で書きこんでの出品作です。
昇段試験の課題が示されています。 初段から四段の方はぜひ一ヶ月半かけて作品創作に励んでいただけ ればと思います。 そこで今回はワンポイントアドバイスしてみることにします。 細目の楷書は、唐代様式の楷書です。 欧陽詢あたりの理知的な切れ味の鋭い楷書にしてみようと筆をとり ました。「一」、「人」 以外はどの一字をとっても格好の良い見栄えのする文字ですので、 キリッと筆を立てて充実した気持ちで線を引きましょう。 一行目は残・幾の”そり”と黙・寒・長の右払いがあるので、 右に流れないようにしましょう。反対に二行目には、笛・聲・人・ 倚・樓の左払いがあるので、 左に流れないように気を配ることも大切です。 行書を書くのが良いかもしれません。大変そうですが、 画数が多いので、屋台骨がしっかりしており、 変化もしやすいので、作品化するのには、 行書が一番書きやすいかもしれません。墨を入れるところは、「 残」と「一」は必ず入れますが、 それ以外は自分の呼吸に合わせて、墨継ぎをすれば構いません。 ただし、隣同士はいけませんよ。 出来れば三角形を書くように墨を入れればよいのです。 力強い楷書は北魏の楷書と呼ばれるもの。 篆書のような隷書のようなものは、 馬王堆帛書を念頭に置いて書きました。 いずれも私の好きな混沌とした時代の過渡期の文字です。 チャレンジして頂けたら嬉しいですね。
今月も前回に引き続き、3行ものを選出しました。
昇段試験の課題が示されています。
臨書部
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【選出所感】
スマホ版の私が臨書した曹全碑を見てお手本を書いた方がいました 。その方が書いたものを何かおかしく感じたので、 原本と比較しました。「完」 のウカンムリの長さに比して二本の線が、 私の書いたものは長すぎました。 横画二本の左右の空間はもっと広いものでした。「易」の「日」 の左右の空間ももっと広く、「日」は縦長の細いものでした。「 世」も一画目の横画の長さは際立っており、 中の縦線三本はもっと密でした。「載」も「徳」も「不」 も指摘したら切がありません、一言でいえば、原拓曹全碑の方が、 グーンと引き締まった結体をしていました。簡単な言葉でいえば、 ウエストの締まった、 手足の長さが目を見張るような姿をしていたのです。 つまり求心性が私の書いたものよりウンとあったのです。 青山先生のお書きになった曹全碑は、 このところがしっかりととらえられていました。 そしてその結構が理性的な青山先生の隷書を生んだのだと思います 。私も私なりに何枚も書きスマホ版のお手本としたのですが、 あとの祭りです。やはり書いたものをすぐ出さず、 何日か経った後再チェックする時間が必要だったのです。 時間という審査員は恐ろしいものです。そして、 その審査員は自分の中にいるんだということを痛感させられました 。今月の課題も是非、原本と見比べて頂ければと思います。
スマホ版の私が臨書した曹全碑を見てお手本を書いた方がいました
随意部
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【選出所感】
今、この文章を書いている時に、 2020東京パラリンピックが閉会式を迎えようとしています。 3日に競技のあった、400メートルユニバーサルリレー。 初めて目にした陸上種目でした。「男女は二人ずつ、 各障がいの中で最も軽い障がいの選手は二人まで」というルール。 ブラインドサッカーの選手はボイストレーニングもしたということ です。障がいを一つの個性と認めて、 様々なプレーに集中する姿を見て感動しない人はいないでしょう。
随意部は、ご自由にということです。 私はどうも狭い意味でうけとり、 臨書偏重のきらいがあるのかもしれません。
閉会式が終わったあと、 全世界のあらゆる人間が響きあえばよいという気持ちになったので 、”響”と書いてみました。(次号の随意部手本で掲載予定です。 )筆は以前、頂戴した仮名用の筆を用いて、 あえて違う弾力の毛先から線を生んでみようと思いました。 墨と紙は普段勝手のものです。
そして一枚書きにしようと決めて筆を執りました。 いつもの好みの北魏の楷書の調子になってしまいました。もっと、 もっと、皆さんは自由にこの部門に出書してみてください。 一字書、 二字書から心を表出した作品が出来るかもしれませんから。
今、この文章を書いている時に、
随意部は、ご自由にということです。
閉会式が終わったあと、
そして一枚書きにしようと決めて筆を執りました。
実用書部
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【選出所感】
前回お話ししましたように、 蘭亭序の臨書はペン字であれ毛筆であれ、 なるべく同じ形になるようにするといいですね。 書きはじめの高さから、書き終わりの位置まで、 骨格は同じにすることを心掛けて、相似形を作ると良いですね。 毛筆は肥痩をつけるために、直筆・ 側筆の用い方に留意しましょう。 ペン字は人差し指のプッシュの具合によって、太い線にも、 細い線にもなります。 毛筆の蘭亭序の臨書が見映えする箇所であったこともあり、 見違えるほど良くなっていました。 ペン字は線質の変化にもっと気をつかっていただけるといいですね 。
和歌は、一マスに一字という形式ではないので、 文字の大小と字間の狭い広いなどということにもっと気をつけて頂 けるといいとおもいます。 スマホ版のお手本の上に課題文が横書きで書かれていますね。 その文を見てご自分でまずは書いてみるというのはどうでしょう。 つまり活字を見てお手本は見ないで書くのです。 このようにすると皆さんの脳中文字がわかります。 どのような癖を持っているのか、 私の書いたものと見比べると一目瞭然かもしれません。 私も今月書きたい和歌を選んだら、とにかく、 まずは鉛筆で書いてみます。 その上を字典を見ながら赤ボールペンで直し、 更につけペンでお清書するのです。是非皆さんも、 このようなプロセスを踏んでみたらどうでしょう。
前回お話ししましたように、
和歌は、一マスに一字という形式ではないので、