2025年02月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「臨 蘭亭序」
左右引以


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今回臨書する「左右引以」も、馮承素が搨摹したといわれる”八柱第三本”と比べるとずいぶんと趣を異にします。第三本の”右”は本当に墨痕鮮やか、かつ、重厚な線は、紙面上一際目を引きます。それに比べるとこの”八柱第二本”は淡々と書き進んでいます。気負うことなくサラッと伸びやかな印象を与える「左右引以」といえましょう。
「右」の一画目から、二画目へとつながる連綿線は俯仰法です。横画は筆管を右へ倒して進み、左払いに向かって、今まで空気に触れていた筆の面を今度は下にして左払いを描きます。筆の表と裏を用いる陰陽法ということになります。この時、左払いの右サイドが毛先の通る道筋となります。手首を柔らかくして柔和な左払いを表現しましょう。
「右」は横画から左払いと書いたかもしれませんが、私のものはノと一の書き順としました。「以」の流れある表現はいかにも自由闊達な宋人の表現ですね。