臨書部
「臨 蘭亭序」 崇山峻領 |
書聖と言われた王羲之であっても、脱字や誤字があったといわれる証左がこの”崇山”の二字です。ちなみに一行目の”癸”もあまりに狭いスペースに書かれているので、在と丑の間に書き入れたのではないかともいわれています。この第二本では、比較的なめらかな広い空間に書かれているので、脱字したとは感じられません。”崇山”は原本通りに行の右に補足した感じで入れてあります。崇の結体は左へ左へと流れているので全く左傾の構造ではありません。最初の山が右に寄りすぎたためだからでしょうか。山はやはり、右サイドが広くなっているのは、基本的に楷書の構造を踏襲しているからでしょう。峻も旁の下半身がやけに大きく重心も随分と上にあることに驚かされます。領にしても、旁の存在感が強いので、いつも言っている「王羲之の書は頭でっかち、左サイドが広い」という原則から離れた書き振りだと言わざるを得ません。