臨書部
「臨 蘭亭序」
会于会稽
「褚模王羲之蘭亭序」と、冒頭に記されているものの、実は米芾の臨書、および跋文と啓功先生が唱えている様に、宋代以後の臨書本のようです。これからは、この八柱第二本と呼ばれている蘭亭序を米芾が臨書したものとしてとらえていきましょう。米芾の研鑽は、顔真卿から始まっており、蔵鋒の用筆が多用されています。八柱第三本(神龍半印本)の馮承素の搨摹したものと比べると、その蔵鋒の使用量は比較にならないほど多いものです。今回の「會(会)」の一画目は逆筆の蔵鋒です。「于」の横画二画も共に、蔵鋒を用いて重厚感を出しています。三文字目の「會(会)」四画目の縦画は、横画の収筆を受けて、右サイドから入必氏、中鋒的な縦画で、あきらかに顔真卿の影響を受けています。「會」と「稽」の文字の上半部の余白を充分にとって、下半部で引き締める造型、つまり、頭でっかちスタイルは米芾によくみられるものだといってよいでしょう。それと共に、米芾の最大の特徴と言える前傾の結体は見逃さないでください。いつも書いている”左傾”ですよ。