2023年11月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「臨 智永真草千字文」
若思言辞安定

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皇甫誕碑の精拓の文字の縦画は芯が通っていて、その直立不動の姿に見入ってしまいます。立ち姿の美しさに惑わされたのか、必要以上に縦長にしてしまいましたのが、10月の皇甫誕碑の条幅臨書の中の「樹・郡・門」の字です。これらは、背丈をもう少し短くしても良いでしょう。
二行目の「槐」は旁の一画目を省いていることが多くあります。鬼の角を書かないほうが多いですね。陰気を表す「ム」が消失してるものを”新書源”の中には採用してありませんが、皇甫誕碑中「魏」にも一例、点がないものがあったので、そのまま省いた形で書きました。金文にはもともと「ム」はありません。また、皇甫誕碑中、隗は﹅、愧も﹅(一例ずつ)、もう一つの魏も﹅でした。二行目の里から耏までは、拓本の状態が良くありませんので、私の感覚が入りすぎたかもしれません。さいごに左サイドが広いとか、偏が大きいという、隋の様式のような字形も散見されます。また、横画にクロスする縦画の上部は相当に長く立派に書いてあるところも見逃してほしくない点です。