2023年06月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「臨 真草千字文」
靡恃己長。信使

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昨年、臨書部で扱ってきた関中本と真草千字文を簡単に見比べてみましょう。線質的に見ますと関中本は、抑揚の変化が少なく、穏やかで平淡な感じがします。それに対し、真草千字文のほうは、抑揚の変化が大きく、リズミカルで爽やかな線と言えましょう。関中本が全体的に正方形に近い形でまとまった落ち着きのある表現をしているのに対し、真草千字文は生き生きと変化に富んだ書き振りをしています。
西川寧先生が鋳った文字、石に刻した文字を型にとったり、ノミで削ったりという二次的なものを取り除いて、いかに筆で書いたもののように表現するかということをおっしゃっていましたが、まさにこの真草千字文は筆で書いたところの毛先の妙味を示してくれているのではないでしょうか。
起筆一つを例にとっても、墨をつけた一字は丸く太い起筆になって、重厚さを表現したものであるかと思うと、毛先が外に表出した鋭利な起筆や逆筆的な起筆など実に様々な姿をも表現しています。是非毛先の姿を読み取ってから臨書してみてください。