2021年1月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

皇甫誕碑
「於疾風叔世銀」

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21世紀の日本で用いられている楷書の原点は、中国初唐7世紀の書の名人である人々によって、完成されましたが、その中でも特に楷書を極めたと言われるのが、欧陽詢(おうようじゅん)という方です。今月の課題はその欧陽詢が八十歳頃(つまり最晩年)に書いたといわれる「皇甫誕碑」という名品です。
一目見てどのような印象を持ちましたか。鋭利、険しい、シャープなどという言葉によって表現されますね。それは筆の入る角度が鋭くとがっているからです。丸く入る方法を円筆といいますが、皇甫誕碑は、ほとんどの入筆が方筆と呼ばれる、四角っぽい入り方をしています。45度の入筆ですが、打ち込みが強いので、書写の書き方より、はるかに厳しい線を生むことができます。そして欧陽詢が書いた”楷書の極則”と言われる「九成宮醴泉銘」と比べると右上がりが一層強く、この点では、北魏に書かれた「張猛龍碑」の影響を受けているように思われます。