2022年1月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

臨 智永関中本千字文
「天地玄黄宇宙」

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今月から智永の関中本「千字文」を扱っていこうと思います。
「千字文」は四字一句、250句からなる名言を集めたものですが、一字も重複しない1,000字を集めたいわゆる文字テキストであり、また、集字のお手本として、広く書を学ぶ人たちに影響を与えている古典です。作者は諸説ありますが、梁の武帝が王子たちに文字を習わせる為に、殷鉄石に命じて、王羲之の書の中の重複しない文字1,000字を集めて、模本を作らせました。それらが一字一紙で順序だてられていなかったので、その時代随一の名文家といわれた周興嗣に命じて、成文化させ、整然とした韻文にまとめ上げたと言います。周興嗣は一夜にしてこの千字文を編集し献上したので、紙や髭が真っ白になったと伝えられています。引用された故事成語の出典は四書五経や詩文など多くにわたり、しかも暗誦に都合のいいように韻を踏んでいます。
原点は王羲之の草書を集字したものや、雙鉤塡墨したものであったでしょうから、文字の大きさも、字の並べ方も統一感のないものであったのでしょう。そのため、草書の右側に真書(楷書)を用いて釈文としました。それゆえ真草千字文といいます。周興嗣が編集したこの千字文を武帝か殷鉄石かまたは王子たちの誰かから借覧して、智永が模本を作りました。その模本をもとに更に臨模して世に伝わるところの智永の真草千字文が成りました。