2021年11月 優秀作品【中学生】

選者選評 沖村春岑 野々山鶴僊

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 八段>
須藤 日奈子 
筆が良く立ち、上品で美しい作品です。
<中2 特待生>
土井 千亜希
線の力強さ抜群です。動きが大きくすばらしい。
【選出所感】
「詩歌」は先月昇段試験対策として、筆の運び方を書きましたが、読んでいただけましたか。文章ではリズムだとかテンポだとか書きましたが、やはり連続した運筆は難しかったようです。早く書かなくても良いから、ゆっくりと次の線に向かって、穂先の弾力を確かめながら運ぶといいですね。「筆を紙から離してお手本を見るのではなく、離す前に穂先を立てたままお手本を見るようにする」とつなぐ意識が実践されます。
「古都の秋」も中学一年生と同様のことが言えます。つなぐ意識をしっかりと持ちましょう。ジャンプをするよりもスケーティングする感じです。そのためには、命毛(穂先の一番長い毛)を用いて、一筆書きするのもトレーニング方法としては良いかもしれません。指先に力を入れてしっかりと筆管を握って、命毛が紙面に触れるように移動するのです。「バレリーナの極意」と検索したら、”弾みをつけずに、ゆっくりと行う”、”呼吸を止めずに行う”とありました。行書の運筆方法に取り入れても良いかもしれませんね。

硬筆

<中1 特待生>
長岡 柚奈 
落ち着いた安定した書き振りでよくまとまっています。
<中1 四段>
須藤 夏乃子 
行書らしいやわらかな線が美しいです。
【選出所感】
四季に合致した”柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺”有名な正岡子規の句です。このような口ずさみたくなるような句は書いていても自然に手が動いて楽しいでしょうね。もう少し縦に流れる感じがすると良かったのかもしれません。「な」、「り」で連綿線を用いましたが、このようなときは「り」を少し右に書いてみると行に流れが生まれます。「風は雁信を伝う」の四字は行が通っており、皆さん大変上手に書いていましたよ。
中学校二・三年生の漢詩四字句の二つは、どの作品も字の形をしっかりとっていました。やはり、単体と複体がばらけて入っているから表現しやすいのです。俳句は下に漢字が集まっているので、やや下部が重い感じになってしまいました。残念なのは、線に肥痩の変化が足りなかったことです。やや漢字は筆圧を高めて太い線で、仮名は軽めの筆圧にすればよかったですね。