2021年9月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

臨 曹全碑
「直慕史魚歴郡」

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中国の秦の時代には、篆書の持つ曲線的な複雑な点画を簡略化して、直線的な画を主体とした書き振りをするようになりました。今日では秦隷と呼ばれる雲夢睡虎地で発掘された竹簡に書かれた文字がそれにあたります。その影響を受けたところの馬王堆帛書に書かれた文字は、古隷と称される老子甲本や、漢隷と称される老子乙本を経て漢人たちの標準的な書き振りとなりました。それが八分と呼ばれるもので、曹全碑はその中でも八分の特徴を鮮明に表現した古典作品です。
隷書の特徴をまとめてみましょう。
①横画は水平
②字形は扁平
③起筆は逆筆・蔵鋒(穂先が出ない)
④運筆は中鋒(毛先が線の中心を通る)
⑤波勢のリズムと波磔というはらいの形
横画の波磔は、波波のリズムを利用して、一度右下に力を加え、弧を描くようにゆっくりと右斜め上に押し出します。その時にはねるようにして筆を裏返しにしないようにしてください。左払いは楷書の時にように払わないで、力を抜かずに左斜め上に押し出します。転折は楷書のように一画でやらず”ちょうつがい”のように二画でやります。つまり横画の終わりで抑えることなく筆を離して、改めて縦画を書いて二画を合わせる方法をとります。