2021年6月 優秀作品【中学生】

選者選評 沖村春岑 望月碧雲

毛筆

※作品は押すと単体で表示されます

<中1 特待生>
長岡 柚奈
墨量豊かに、柔らかな線で仕上げました。すばらしい。
<中1 六段>
須藤 日奈子
腕の動き大きく、さわやかな美しい作品。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
キレ味抜群、スピード感もあり爽快な作。
<中1 十段>
土井 千亜希
ゆったりとした大きな動きが良い。線も強いです。
【選出所感】
新中学生の一年生にとって、希望に胸を膨らませて入学した春が過ぎ、クラスにも部活にも慣れて、いよいよ本格的に始動する時期だなと思い、「夏は来ぬ」を課題としました。”コヌ”ではありませんよ。”キヌ”です。「ぬ」は完了の助動詞。このような課題は難しいですね。「新しい光」のように漢字と仮名がクロスするような課題にすればよかったですね。上に漢字二字はまずかったですね。ですが、漢字では連続する意識が育ったと思います。仮名も柔和な線で”むすび”が書かれていましたよ。
「理想」も連綿線を勉強する課題です。次の画へと意識を持っていくためには、筆の腰がべたっと紙に着いてはいけません。毛先の弾力を生かすことが大切です。スポーツ(特に八村塁選手が活躍するバスケットボール)では、つま先の用い方、膝の用い方が大切だと思いますが、毛先をつま先やひざに見立てて、ばねを利用していきたい方向にスッと行けるようにしますと書道の連綿線も気持ちよく流れるように引けると思いますよ。

硬筆

<中1 特待生>
鈴木 昊
すっきりとしていて強い、魅力的なペンの線です。
<中1 五段>
須藤 日奈子
手本の動きを良く観察して書かれた作。立派です。
<中1 三段>
須藤 夏乃子
じっくりと力強く引かれた線がすばらしい。
<中2 特待生>
遠藤 衣月
緩急をつけたキレ味の良い線がとても美しい。
<中2 特級>
鈴木 悠生
ゆっくりとていねいに書かれた優しさを感じる作。
<中3 特待生>
鈴木 理斗
安定感のある書き振りできれいにまとまりました。
【選出所感】
中学一年生にとって、初めてのつけペンであったり、ボールペン字でしたね。持ち方は大人の実用書の選出所感に書いてあるので、読んでみてください。(中学生の皆さんにも読んでほしいと思って書いています。)
風の三画目の方向、神のシメスヘンの形と書き順、新のヘンの点の省略、最と上の書き順は今までの楷書とは違いますね。それ以外にも、右払いははねて、下につなげるようにするのが行書らしさを生みます。又、縦画の起筆と横画の接筆箇所はあえて開けると文字の中に風が入って、動きのある形になります。
中学二・三年生の花意竹情(花や竹の風情)と燕雁代り飛ぶ(雁が去って燕が来りてすべて春景となる)は漢詩の四字句です。中学の国語では漢詩もやるので、その一助となれば嬉しいです。行書を書くとき、その字形は前かがみになるとよいですよ。それを左傾といいます。縦画が左に倒れるようにすると行意(行書の雰囲気)がでます。飛の字形は2階を狭く1階を広くすると格好良くなります。行書にすると書き順が正しいかすぐにわかります。