2026年11月 お手本【一般 条幅部・随意部・実用書部】

2026年11月30日締 昇段・昇級試験について

実用書部は以下の課題から、受験段級に応じて、規定の作品を提出ください。

課題Ⅰ:「市町村名」(毛筆)
課題Ⅱ:「市町村名」(ペン字)
課題Ⅲ:「長塚節 、島木赤彦の歌 二首」

師範受験者(受験時 準師範)課題
課題Ⅰ、Ⅱ、Ⅲすべて
(4行1枚を3枚提出)

準師範、六段~二段受験者(受験時 六段~初段)課題
課題Ⅰ:1、2行目
課題Ⅱ:1、2行目
課題Ⅲ:すべて
(課題Ⅰ(毛筆)、課題Ⅱ(ペン字)の順で2行ずつ計4行を1枚、課題Ⅲ1枚の計2枚)

初段以下受験者(受験時 特級以下)課題
課題Ⅰ:1行目
課題Ⅱ:1行目
課題Ⅲ:一首目(2行(小春日の~))
(課題Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの順で上記課題を1枚の作品とすること)

実用書部 課題Ⅰ

阿波美馬三好下関山口宇部周南岩国
防府山陽小野田市下松光市市長門

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実用書部 課題Ⅱ

阿波美馬三好下関山口宇部周南岩国
防府山陽小野田市下松光市市長門

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実用書部 課題Ⅲ

小春日の庭に竹ゆい稲かけて見えずなりたる山茶花の花
窓の外に白き八つ手の花咲きてこころ寂しき冬は来にけり

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【手本解説】
徳島の三市と山口県の市名になります。紙面を見ても一目瞭然、画数の少ない文字が並びます。いつもの唐筆の穂先がちびた為に和筆・写経筆に代えた為か、随分鋭利なタッチになって線も細くなったように思われます。
この頃の皆さんの細字はいい調子で出品されていますので、あまり細さにこだわらないで普段の書き振りで落ち着いてお書き下さい。
ペン字も、普段よりシャープなものとなっていませんか。これは紙質が良くなった為だろうと推察しています。市販ノートではなく、印刷屋さんにお願いして、紙を少し厚手のものにしたからです。 今月のお手本は、実用書細字もペン字も学生硬筆等もすべてこの用紙で書きました。やはり道具の吟味は大切です。
一首目は長塚節(ながつかたかし)、二首目は島木赤彦(しまきあかひこ)の短歌です。これも漢字の数が少なく全体が弱く感じてしまわないか心配です。一割位文字を大きめに書いて頂いても良いかと思います。

[岡田明洋]

条幅部

「劉禹錫句」
何れの処よりか秋風至る蕭々として雁の群を送る
朝来庭樹に入り孤客最も先ず聞く

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【手本解説】
劉禹錫詩「秋風引」20文字中(実質19字中)、新書源の中で米芾の字で確認されていない文字は「最」一字のみでした。王鐸ですと「送・庭・樹・最」以外は確認されています。米芾・王鐸はいずれも王羲之を崇拝していた書き手ですから、今回の課題は米芾を主に集字して書けば良いという訳です。むしろ劉禹錫詩を読んで、すぐにこれらの文字は米芾の中にあるはずだと思いました。普段から親しんでいる臨書の恩恵と言っても良いでしょう。
米芾と言えば「左傾」という言葉をすぐに想起して下さい。これは王羲之を源としていて、左に傾く前のめりの造型のことですね。文字の縦画を左に傾けてある「雁・群・朝・来・樹」などに顕著にあらわれています。又、上部のパーツに対して下部を右に寄せて、文字の重心を右にずらす重心移行によっても左傾は表現されます。今回のポイントは左傾を取り入れましょうです。

[岡田明洋]

随意部

「臨乙瑛碑」
皆備爵大常丞

岡田明洋

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「臨米芾」
密友従春拆

沖村春岑

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「臨雁塔聖教序」
無質尋印度之

澤琴舟

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「馬振拝造像記」
維那張子成維

石神澄璇

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【手本解説】
古谷蒼韻先生の「半紙臨書メモ」をお読みになってから、この2ヶ月間、①指全体を伸ばして書くようになりましたか?又、②掌の中の卵が潰れぬように、手のひらの中に大きな空間を意識するようになりましたか。
黄庭堅(山谷)の題跋(だいばつ・書物のかきはじめとおくりがき)に「双鉤回腕」(そうこうかいわん)と「掌虚指実」の語が見え、それをもって、執筆法を学ぶことが重要であると記されています。双鉤とは親指と人さし指・中指で筆管を持ち、薬指と小指は内側から筆管を支える持ち方のことをいいます。この形で、手首を机から離して構えることを回腕法といいます。又、「掌虚指実」は「虚掌実指」ともいわれ、掌を広くあけ(掌虚)、掌の中の卵を潰さないようにリラックスした状態を保ちます。反面、五指をつめて、指先に力をみなぎらせて書き、気力の充実をはかります(実指)ですから、小指が上を向いたり、中指から小指までに隙間が出来るようではいけません。もちろん筆の軸をまわすのは論外です。

[岡田明洋]