2025年11月 優秀作品【一般】

選者選評 岡田明洋

漢字規定部(師範合格者)

※作品は押すと単体で表示されます

齊藤 睦
温和な書き振りの中に真摯な取り組みを感じる秀作です。

漢字規定部(昇段試験合格者)

谷口 百華
紙面に溢れる墨気!反面毛先の用い方に一工夫を。
片瀬 仁美
滑らかな運筆にリズムを感じる。二行目の行立て一考。
佐藤 満弓
行草に秀でている作品群。臨書に優れた行意を感じる。
遠藤 衣月
ゆったりとしながらも、繊細な運筆に魅力を感じる。
田村 奈穂
打楽器的な打ち込みの強さが目を引く。渇筆も入れよう。
風岡 立子
真摯にお手本と向き合っている。特に二行目の充実感見事。
木谷 優里
線のつなぎに意を用い、懐広い結体とした秀作。
深谷 志歩
墨量豊かな運筆。隷書の筆法が行書の中にも垣間見える。
【選出所感】
「四季の書」を開設して、丸五年が経過しようとしています。今秋の昇段試験で目出たく斎藤睦さんが師範に合格されました。この五年間で新師範が15名輩出されましたが、いずれの方も前の競書雑誌からの段級を受け継いだものです。23年春と24年春の昇段試験では、新師範を選出せずにいましたから、容易に師範になれるものではないと思っています。睦さんも難関であった臨書と実用書の課題をクリアしてのものです。臨書課題は褚遂良と伝えられているだけで、技法的にはあまり上等ではない蘭亭序の臨書本であっただけに、半切で書いても美しく見えない文字も多くあって、臨書するにも骨が折れたことと思います。実用書は指の操作法やら、線の引き方のトレーニング法まで、この期に及んでも私からあれこれ指導を受けていましたから、心が折れそうになったかもしれませんが、よく耐えて締切前日まで書き込んでくれました。
最後まであきらめなかった努力を糧に、今後も精進ください。誠にお目出とうございました。

[岡田明洋]

漢字規定部(月例課題)

平垣 雅敏
普段より筆圧を軽くし、その分楷書の中に行意を注入した。
山木 曄真
この頃の書き振り、思い切りが出たように感ず。この調子で!
長野 青蘭
墨痕鮮やかな行書。反面どのように渇筆を生かすかが課題。
小柳 奈摘
端整な隷書としたが、これに木簡のリズムを取り入れるか?

条幅部

藤田 紫雲
隷草と呼ばれる木簡を集字しての意欲作。
鈴木 藍泉
蔵鋒の頻度が高く線の充実感を表出した。緩急の変化を。
長野 天暁
1行目上部の圧倒的な力強さ見事!二行目二・三字目更に太く。
竹本 吟月
まとまりのある作。大きな気持ちで小さく書いてみよう!
【選出所感】
過去を振り返って条幅手本を見ております。21年は蘭亭序・皇甫誕碑・米芾・曹全碑。22年は趙孟頫・智永の真書。三か月ごとにその繰り返し。23年は、智永草書と皇甫誕碑の繰り返し。これらは比較的平易で学習しやすい古典と思われます。趙子昂(趙孟頫)などは、成瀬映山先生の言に”この頃は趙子昂は人気がないのね。今の人はああいうものを無視して芸術しちゃうのかな(笑)やっぱりいけないよね”とあります。(中国法書ガイド「董其昌集」)Web書道・四季の書の立ち上げ早々の課題でしたから、奇異なものではなく、筆運びが明快な古典群を選びました。
先般”先生の学んだところを学ぶように”と記しましたが、そんなようなつもりで臨書課題を扱ってきました。ただ、これだと私のコンタクトレンズで古典を見ることになってしまうのではないかと、条幅で臨書を扱うことを24年からやめてしまいました。
ご自分で好きな古典を見出して、条幅に取り組んでいただけたらと思います。

[岡田明洋]

実用書部

内海 理名
ようやく落ち着いた書作となった。常に心に余裕を。
市川 章子
ペン圧の微妙な変化を追及した。細字の横画は軸を立てて。
【選出所感】
一字をみるととてもしっかり書かれている作品を多く目にしました。細字の大牟田、八女は造型的にも右サイドを広くとって唐代楷書を基準とした結構を取ってくれていましたが、縦画の懸針がすっきりと引けていないものが散見できます。市・柳・川など縦画は、まずは、力強く入って、筆を立ててから、直下に向かって伸びやかに筆を運び、終筆はゆっくりと払います。出品用紙のマスの左右のラインの上で起筆をしっかり作ってから1.5cmの縦線を何十本も引いて、基本運動を指先に叩き込みましょう。
ペン字は、地名も和歌もやはり文字が大きすぎるようです。お手本の左右の幅を見比べてみてください。転折のところで力を入れすぎているのも気になります。必要以上に筆圧をかけると転折にお団子ができて、折角の流れを阻止してしまいますよ。
今月は実用書の昇段試験です。たくさん書いて、優秀作品を応募してください。

[岡田明洋]