選者選評
【毛筆】大村清琴 【硬筆】佐々木笙扇
毛筆
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【選出所感】「雷鳴」八月は本当にカミナリが怖かったですね。カミナリの語源は「神鳴り」から来ています。「神様の鳴らす音」を意味し、アメカンムリの下に田がありますが、古代文字では四つの田から成り立っています。天地の陰陽の気が相触れて、轟音(ごうおん)を発するとあり、その音は鼓(つつみ)を鳴らすのに似ていて、雷鼓ともいうそうです。
このような字源を調べてからはっきりとしたイメージを作ってから書いても良いですね。もっと墨をたくさんつけて紙に対して毛の腹まで打ち付けるような激しいタッチで書く。もしくは、カミナリの光線のように線をつなげて書いてみるのも手かもしれません。
中学生になって、”書写”から”書の表現”を楽しんでくれるようになると嬉しいですね。
[岡田明洋]
硬筆
【選出所感】 行書と草書を書くことによって、どのように漢字が省略されて仮名になっていったか、皆さんも理解が進んでいっているのではないでしょうか。今まで出てきた五十音表をしっかり覚えることも大切ですが、まだ習っていない平仮名の字母を考えてみるのもいいですね。”向日葵(ひまわり)に天よりも地の夕焼け”くるの中の、に、よ、り、も、の、る、”の字母を考えてみましょう。文字の音(オン)に対する感覚が鋭いものになってくると思います。
俳句の中に出てくる転折の部分”向”の三画目、”日”の二画目、”地”の四画目などをもう少し円運動させるようなつもりで書くと、楷書とは異なる趣きになります。行書はウォーキングのつもりで書くように心掛けます。転折で急ブレーキをかけないようにしてください。
[岡田明洋]