2022年11月 お手本【一般 臨書部】

臨書部

「臨 趙孟頫」
赤壁の遊は楽しかりしやと。

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趙孟頫の書が、いかに王羲之の影響を受けているのかが、如実にわかる箇所です。
「赤」の重心が本当に低い結体です。新字源を見ても、王羲之の「赤」ではありませんが、米芾も王鐸も三画目の横画がこれほど低くは書いてはありません。私が常々いっているように、王羲之の書は、頭でっかち、特に左上が広くとってあるということを踏まえての「赤」の字だとおもいます。「璧」は懐素の「草書千字文」あたりの筆意に似ているのではないでしょうか。突然、草書になっています。「遊」の字もなぜか草書ですが、これはどちらかというと、懐素の草書より、王羲之の「十七帖」に似ているのかもしれません。習っているものが、脳裏をよぎって書いてしまったのでしょうか。私など、蘭亭序の中の「遊」を用いればよいのになどと思ってしまいます。その点「楽」などは、「蘭亭序」の「楽」を髣髴とさせる字形となっています。
米芾から王羲之に進むのも結構ですが、趙孟頫から王羲之を習得するのも一方法かもしれません。